テング熱はデングウィルスの感染によって起こる熱病で、蚊(ネッタイシマカなど(写真))がこのウィルスを媒介します。
現在、日本国内でデングウィルスの流行はありませんが、アジア、中東、アフリカ、中南米などでは年間1億人近くの患者が発生しており、約25万人以上が出血熱を発症しています。流行する時期は蚊の繁殖する雨季に多いとされています。
感染後3~7日経過してから、発熱(38.0℃以上)、頭痛、目の奥の痛み、筋肉痛や関節痛といったインフルエンザ様の症状がでます。また、発熱して3~4日後から胸やお腹に赤~桃色の小さな発疹が出て、次第に手足や顔面に広がります。
通常は発熱してから1週間ほどすると解熱し、回復します。
しかし、この時期に一部の人は、歯茎からの出血や血便や血尿といった「出血症状」、さらには「ショック症状」をおこし、重症化することがあります(デング出血熱)。重症化した場合の致命率は、治療を受ける国の医療水準にもよりますが、1%前後とされています。
デング熱にはワクチンがありません。このため、予防のためには蚊の対策が重要です。デング熱を媒介するネッタイシマカなどは、郊外だけでなく都市やリゾートにも出没します。この蚊は昼間吸血する習性がありますが、とくに日の出後と日没前は注意が必要です。蚊に刺されないようにするためには、肌を露出しない服装(長袖・長ズボンを着用)をするとともに、虫よけスプレー(忌避剤)、蚊取り線香などを併用しましょう。
つまり、デング熱は、体内からウイルスが消失すると症状が消失する、予後は比較的良好な感染症です。しかし、患者の一部 に出血症状を発症することがあり、その場合は適切な治療がなされないと、致死性の病気になります。
つまり、出血斑などがなければ、そのうち治り心配は無いと言う事です。
昨年も海外などで感染した患者が多かったようですが、今年と同じくらいのテング熱患者がいたそうです。
さて、タレントの紗綾さん、テレビの番組の虫捕りロケで33か所が蚊に刺された。8月21日のTBS系情報番組「王様のブランチ」の代々木公園に出かけて、虫捕りロケを行なった。26日深夜に突然、発熱。
「目の奥が痛くなり頭痛もひどくて吐き気や寒気がすごかった」。その後、デング熱と診断され30日に入院、今月5日に退院した。
悪夢のような闘病生活だった。「40度くらいの熱が1週間くらい続き、その後ひどい発疹が出て手足が真っ赤に腫れ上がり、手は倍くらいの大きさになった。痛がゆさが耐えられなくて、ずっと氷水で冷やしていました」と振り返った。とても怖いですね。
そして、これからのテング熱の流行ですが、厚労省によると、蚊の寿命は約1カ月。都は代々木公園の大部分を閉鎖し、5回にわたり駆除を行った。ウイルスは蚊から蚊にうつることはないため、人を刺さなければ感染が広がることはない。
国内でヒトスジシマカが活動するのは5~10月。蚊の寿命や生息できる季節からみても、ウイルスを持つ代々木公園の蚊はそろそろ死滅するとみられる。
寒くなると蚊は死滅するが、卵は小さな水たまりや雨どいなどで冬を越し、次のシーズンに温かくなると孵化する。卵にウイルスが受け継がれ、次世代の蚊がウイルスを持つ可能性はないのか。
感染研昆虫医科学部の沢辺京子部長は「海外ではウイルスが卵に受け継がれたとの報告もある。しかし、日本は熱帯地方より気温が低いので、気候が温かくなってから数カ月しないと孵化しない。その間に乾燥して死滅する卵も多いので、ウイルスを引き継いだ卵が孵化して次のシーズンも活動する可能性は低い」と話しています。そして、多くの患者は代々木公園でテング熱のなったようです。防虫剤を体に塗ったり、長袖の服を着たり、テング熱の起きている草むらに出かけなければかなり防ぐ事は出来ます。
数年前の新型インフルエンザの際にも、皆にマスクをさせて、テレビなどのマスコミで騒ぎたてていますたが、騒ぎ過ぎです。夏が終わり、テング熱は今年はもう広がる事はないと思いますが、来年の夏に流行ることもあります。頭の片隅にテング熱のことを置いておきましょう。
武蔵小杉徒歩2分の内科クリニック、一般内科、糖尿病内科の院長の
布施純郎からのお話でした。