「腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー」を見て
色々忙しかったので、録画してあった「腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー」NHK(2月に放送)を昨日みました。多少私のコメントも挟みながら、内容を書いて行きます。
食物繊維は腸内細菌のエサになります。食物繊維が不足すると腸内細菌のパワーは落ちます。健康維持のためには、食物繊維をたくさん食べることが大事です。しかし、日本人は食物繊維の摂取量は厚労省の基準の1日20gを大きく下回っています。どういうものに食物繊維が多い事言うと、ごぼう、アスパラガス、たまねぎ、大豆です。納豆なんか、発酵食品でとても良いですね。
それから、肥満マウスと普通マウスの腸内細菌を入れ替えて移植すると、なんと普通のマウスが太ってきました。つまり、肥満の人の腸内で少なくなっていた菌が影響し、肥満になっていたと考えられます。その肥満の人が腸内で少なくなっていた菌は「バクテロイデス」でした。この「バクテロイデス」には肥満を防ぐ菌があったのです。細菌が私達が食べたものから栄養をとって出す物質が私達の体に重要な作用を与えています、その一つは「短鎖脂肪酸」です。これが肥満を防ぎます。全身に血管から運ばれる短鎖脂肪酸が脂肪細胞に働きかけると脂肪の取り込みが止まります。つまり脂肪細胞が太らなくなり、肥満を防ぎます。
話は変わりますが、ヒトの腸内にいる細菌の表面にはびっしりとIgA抗体(免疫細胞の一種)がついてるが、免疫の攻撃対象として働いているのではなく、むしろIgAが腸内細菌を粘液層に引き込み、腸内粘膜に生きていられるように誘導しているのです。長い人類の進化の上で、細菌は大きく、70種類のグループに分類されているが、人間の腸内にいるのは主に4グループです。つまり、4グループのみが生きて行かれるようにIgA抗体がコントロールしているのです。
また、何と性格まで腸内細菌が関与しているのです。遺伝子の違いと考えられていたが、腸内フローラが関与していると考えた。そこで、活発マウスと臆病マウスの腸内細菌を入れ替えると、活発マウスは慎重になり、臆病マウスはやや活発になります。何度繰り返しても結果は同じです。腸内フローラを入れ替えることで性格まで変わるのです。また、コミュニケーション能力の低いマウスで腸内細菌の作る4EPSという物質が関与しているのではないかと考えた。そこで、4EPSを取り除く薬を飲ませたら、コミュニケーション能力が大きく改善されました。神経のネットワークが集中しているのは脳以外に腸です。腸の神経細胞は1億個あり腸管神経系と呼ばれています。腸内細菌の作り出す物質のなかには神経細胞を刺激するものが数多くあることがわかってきた。その物質が腸管神経系を刺激して、感情に影響を与えると考えられます。すでに腸内細菌をうつ病の治療に使う治験が始まっています。マクマスター大学のベルチックさんは「うつ病の患者の中には腸内フローラを変えるだけで治ってしまう患者がいるはずだ。」と話します。
それから、Clostridium difficleという細菌の慢性感染症の倦怠感で動けなっていた米国の女性が腸内細菌を入れ替えたら(便微生物移植)2日で元気になったとのこと驚きです。便微生物移植とは、健康な人の便を100ccにといて、大腸カメラで流し込むだけなのです。原始的な方法で、驚きました。
がんや肥満や精神病から、皮膚のしわまでたくさんのことに腸内細菌がかかわっていることがわかりました。腸内細菌の全貌を解明すれば、医療に大きな変革をもたらすのではないかという期待が高まり、欧米では国家的な研究プロジェクトが動き出しました。“腸内フローラ”を治療に活かす臨床研究も次々と始まっています。
NHKの予告の動画です。https://www.facebook.com/video.php?v=1044421538917844
以上、武蔵小杉駅から徒歩2分の内科クリニック、布施純郎のお話でした。