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肥満と糖尿病と睡眠

肥満と糖尿病と睡眠
睡眠時間が短いと肥満や2型糖尿病を発症しやすいと言われていますが、実際はどうなのでしょうか?
食欲をコントロールする2つのホルモンがあります。ダイエットのカギは食欲のコントロールと睡眠にあります。しかし我慢しようとしても、食欲は意志だけでどうにかできるものではなく、それに関連しているホルモンには「レプチン」と「グレリン」があります。

レプチン(食欲抑制ホルモン)は満腹中枢を刺激するレプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、基本的に食事をしたあと分泌されます。レプチンが分泌されると、脳の視床下部にある満腹中枢が刺激され、満腹感を感じるようになります。すると、食欲が抑制されるという仕組みです。一方、グレリン(食欲増進ホルモン)は胃から分泌されるホルモンです。グレリンが分泌されると、脳の視床下部にある食欲中枢が刺激され、食欲が増すことになります。本来グレリンは、空腹で体内のエネルギーが不足しがちなときに、エネルギーの補充を促すため分泌されるホルモンです。体脂肪が多いと、レプチンの受容体が鈍くなってしまうからです。たしかにレプチンの分泌量自体は増えるのですが、レプチンの感度は低下して、効きにくくなります。

ダイエットが成功したとしても、怖いのはリバウンドです。実は、このダイエット後のリバウンドにも、レプチンとグレリンは大きく関係しています。体脂肪が減っても、レプチンの受容体の感度が元に戻るまでにはタイムラグがあります。つまり、痩せてもしばらくはレプチンの感度が悪く、食欲がなかなか抑えられないのです。
以前から睡眠不足が2型糖尿病発症と関連するという報告がありましたが、睡眠不足が食欲増進につながるということを示したこんなデータがあります。健康成人男性1,024名を対象に、睡眠時間と食欲に関するホルモンの関連を調べた報告によれば、睡眠時間が短くなると、レプチンの分泌が低下して、グレリンの分泌が増えることが示されています。つまり、睡眠時間が短いと食欲に関するホルモンのバランスが乱れて食欲が増進してしまい、肥満につながりやすいと考えられます。

睡眠 レプチン
別の研究では、健康な20代男性12名を対象に、4時間睡眠で2晩過ごした後と10時間睡眠で2晩過ごした後で、食欲に関するホルモンの変化と食べ物の嗜好について調べています※1。その結果、4時間睡眠で2晩過ごした後は、10時間睡眠の後に比べ、レプチンが低下して、グレリンが増えており、実際に空腹感や食欲も増えていました。4時間しか睡眠がとれなかった人たちとは、10時間睡眠をとった人たちに比べ、ケーキやクッキー、アイスクリームなどのスイーツや、ポテトチップスやナッツなどの塩気の強いもの、パンやパスタなどの炭水化物が食べたくなるという傾向がみられました。

こんどは、睡眠時間とインスリン作用についての研究です。対象は健康な正常体重の男性15人で,睡眠の長さやタイミングが異なる下掲の3群に割り付け,糖代謝に及ぼす影響をクロスオーバーで検討した。(1)早い睡眠群:睡眠時間を4時間に短縮し,睡眠の時間帯を11:00pm~3:00amとする。(2)遅い睡眠群:睡眠時間を4時間に短縮し,睡眠の時間帯を3:00am~7.00amとする。(3)通常睡眠群(対照群):睡眠時間を8時間取り,睡眠の時間帯を11:00pm~7:00amとする。各群は7:00amに採血検査を行い、インスリン分泌や感受性を調べた。その結果、早い睡眠群および遅い睡眠群では対照群に比べてインスリン感受性が有意に低下していた(図1)。しかし、睡眠のタイミング(例えば、11pmか3amに寝る)はインスリンとは関係は認められなかった。インスリン感受性が有意に低下していたということは、糖尿病になりやすくなると言うことです。

睡眠とインスリン
睡眠不足で食欲増進、さらにスイーツや炭水化物が食べたくなる。そして、インスリンの効きが悪くなります。肥満や糖尿病はもちろん、食事や運動療法が大事ですが、睡眠との関連もとても大事なのがわかりました。皆さん、時間の有るときはなるべく、ゆっくり、7−8時間は睡眠をとりましょうね。

 

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Posted by 武蔵小杉の内科|武蔵小杉駅1分の内科なら小杉中央クリニック at / 気ままなブログ