福島第一原発から20kmの広野町を訪問しました。福島原発事故で町全域が避難準備区域に指定され、町民が避難したが、今は、帰還している町です。町は、小さい岡の上にあり、津波などの影響は受けていなかったようです。説明会をした公民館もきれいにリフォームされていたようです。住民や子どもたちも徐々にこの町に戻ってきていているようです。東北であるにも関わらず、東京に電力を供給するために原発事故の犠牲になったのです。テレビではあまり、報道されていませんが、決して忘れてはなりません。これは、2016年6月25日のブログの復刻版です。
私は福島の浜通への訪問は初めてです。放射線量は中通りより、それほど、高くは無く、舗装されているところは、除染されているようで0.10ー0.15マイクロシーベルトでした。裏の林の中では、0.20ー0.25マイクロシーベルトでした。二年前に郡山をおとずれましたが、町の中の放射能の高いところは、0.40マイクロシーベルトもあり、広野町は中通りに比べて、放射線量は低めだと感じました。
さて、本題にうつります。私が顧問をしているTODAY IS THE DAYは広野町の子どもにむけた、シンガポール滞在型保養プログラムを2年前から行ってきました。名付けて、「みらくるクッチー体験」です。広野町の子どもたちは、多かれ、少なかれ、心のトラウマをかかえています。滞在中に子供たちにトラウマケアのためにアートセラピーを行なっていきます。
アートセラピーとは900年代中頃から頃から欧米諸国で生まれた心理療法の一つを指します。現在では世界各地で益々盛んになり、シンガポールでも積極的に治療に採用されています。このプログラムでは、絵画や写真、陶芸、ダンス、 折り紙などのアートの制作と発表を通じ、人との関わりの中でトラウマを乗りこえる力と問題解決能力を養います。また、多大なストレスにより生じた様々な心理的問題を、自己表現による他者との交流の中で昇華、自己肯定感を獲得し本当の自分に触れる機会を提供するのです。
福島県双葉郡広野町の子どもたちは震災による深いトラウマと、様々な不安を抱えながら暮らしています。しかし、広野町でこのようなボランティア活動を行っている団体も非常に少ないのが現状です。
アートセラピーのプログラムの内容ですが、シンガポールラ・サール美術学校アートセラピー学科から、セラピスト数名と学生インターン生、指導教授による体制でアートセラピーを行っていきます。外部専門家として、ニューヨーク大学アートセラピー学科指導講師、Japanese Mdedical Support Network理事の小林 利子さんにご協力頂いております。NPO法人子ども未来研究所との連携も行い、同研究所のスタッフの方々にも参加していただいています。子どもたちの国際交流のプログラムのために、セイントジョセフ学校の先生や生徒の皆さんに参加していただいています。陶芸や絵画、写真のワークショップのために、シンガ ポール技術大学の教授や、現地アーティストの方にも参加していただいています。プログラムではホームステイ体験が組み込まれていて、ホストファミリーとし て福島県出身のシンガポール在住日本人の方などや、あるいは流暢な日本語を話せる方々に担当していただいております。保養はシンガポールで14−15日間行います。