健康診断などで、「コレステロールが高い。」と言われますが、なぜ、悪いのかというとそれは血管の内側に脂質がたまって動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高まるとされています。そのため、卵は、1日1コ以下というのが、医師や世間での常識でした。私のLDL-コレステロールの数値は140-160mg/dlと高めであり、卵は、月に2−3コくらいしか食べていませんし、卵は、動脈硬化を進める悪者だと患者にも同様の指導をしていました。
そもそも、コレステロールは悪者ということになってきた理由は、1913年にロシアの病理学者ニコライ・アニチコワがウサギにコレステロールを与えた実験を行い、大動脈にコレステロールが付着して動脈硬化が起こったことから、コレステロールが動脈硬化の原因であるとして発表した。しかし、その後の研究で、ウサギは草食動物であり、普段はコレステロールなどまったく摂取しない動物であるため、ウサギにコレステロールを投与した場合、そのまま反映されて血中コレステロールが急上昇してしまうことが分かったのです。
さて、コレステロールですが人間のからだは約60兆個もの膨大な数の細胞から成り立っており、コレステロールはそれらの細胞を構成する細胞膜の材料であり、細胞膜を強くし、支えます。また、生体機能を調節するホルモンの材料となります。それから、コレステロールと食事の関係ですが血中コレステロールの7~8割は体内で作られ、食事の影響はもともと少ない。また、食事から多く取れば体内で作る量が減らされ、逆に少なければ体内でたくさん作られるというように、血液中の量をコントロールする調整機能が備わっていると言われています。
この件に関して、アメリカ政府の「食生活ガイドライン諮問委員会」は今月(2015年2月)に発表した2015年報告書で「コレステロールの摂取制限は必要ない。」とした。 報告書では、動脈硬化や心筋梗塞などを引き起こす血中コレステロールは、ほとんどが肝臓で作られるもので、食物との関連性は明確ではないという。このため、これまで1日300ミリグラム以下としてきたコレステロール摂取の目安を撤廃してしまった。また、日本でも動脈硬化学会で同様の声明がなされました。つまり、草食動物のうさぎと人間は、血中コレステロールの調節機構が違うということです。
私は前述したようにのLDL-コレステロール値は高めで、薬は飲んでいません。そこで、今回は、卵をたくさん食べる人体実験をしてみました。方法は、まず卵をほとんど食べないで、先に採血をして、LDL-コレステロール値をチェックします。それから、7日間、卵を平均2.5個毎日食べました。そして、実験後に再び採血をします。食べる前、LDL-Cは148mg/dl(中性脂肪73、HDL62)、卵を食べて、7日後の結果はLDL-Cは144mg/dlでした(中性脂肪80、HDL57)。つまり変化有りませんでした。卵を食べる事が、LDL-コレステロールの上昇に関係していないことがわかりました。
話は変わりますが、タンパク質としては、肉が代表ですが、一般の肉はホルモン剤や抗生物質まみれであると言われています。その牛や豚も遺伝子組み換え飼料を食べているかもしれません。非常に危険です。しかし、体のためには、タンパク質やコレステロールは必要です。そこで、非遺伝子組み換え飼料の平飼い卵などは安全なタンパク質であると考えます。値段も一般の卵よりは高いですが、オーガニックな肉に比べて、リーズナブルです。
糖質制限をしている自分が糖尿病の先生は、卵は1日4個をノルマにしていると言っていました。タレントの坂東英二さんが、新幹線のなかでゆで卵を6個食べてしまうという食事もあながち、間違えでは無いと思います。6コはちょっと多すぎですが。皆さんも健康のために卵を積極的に食べましょう。1日、2−3コまでなら、問題ないと思います。でも、体質により影響は異なるかも知れませんので、コレステロールの高めの人は、年に2−3回は採血検査をして下さい。
以上、武蔵小杉駅から徒歩2分の内科クリニック、小杉中央クリニックの院長の布施純郎からのお話でした。